君の背中を見つめる恋
「だから、昔みたいに…」

「うん」

ゆっくりと言葉を選びながら話す中山くん。

あたしは中山くんをしっかり見つめながら
次の言葉を待った。


「普通っていうか、まぁあの頃みたいに話せたらいいなと思ってる…つーか…」

「………」

「俺が言うのも変だけど…」

…………え?

そ、それって
昔みたいに友達でってこと?

「仁科が嫌じゃなかったらでいいんだけど…。せっかくまた同じクラスになったんだし」

「……うん」

「うん」


すると中山くんは
席から立ち上がって。


「話はそれだけ。時間取らせてごめん。じゃぁ…また明日」


そう言うと
中山くんはそそくさと教室から出て行った。

< 16 / 244 >

この作品をシェア

pagetop