君の背中を見つめる恋
「あんた達は、逃げてるだけじゃん。自分の気持ちに正直に真っ正面から向き合えてない」

「………」

「そんなんで、香乃のためなんて言わないで!」



勢いよく発したせいで
夕里の息が乱れる。

きゅっと唇を噛み締めた。


阿部も、中山も、

香乃を想ってるなら
分かるでしょ……?


どれだけ香乃が
あんた達を想ってるのか…


夕里がキッと剛志を睨みつけて
その場から走った。


その姿を見届けて、
剛志が下駄箱にもたれ掛かる。


嵐が過ぎ去ってくかのように

一気に吐き出された
夕里の言葉が胸に刺さって。
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