君の背中を見つめる恋
「明日香(あすか)のこと」

「………」

「それと、仁…」


その瞬間、
中山がガッと襟元を掴み上げた。

無言で睨む中山に
冷めた目で見る、


─────阿部。


中山が小さく舌打ちすると
パッと手を離して、


「2度と口にすんな」


そう言って
その場から立ち去った。


「…………」


阿部の手に力が入る。


────明日香が、

あと半年で帰ってくる。

< 49 / 244 >

この作品をシェア

pagetop