君の背中を見つめる恋
「阿部くん!」

「あ、仁科さん」


香乃が阿部を見つけると
駆け寄った。

阿部がホッとしたような顔で
フワリと笑う。


───来てくれた。


「仁科さん、何か食べた?」

「ううん、まだ。自由時間になってすぐ来たから」

「良かった。じゃぁ、はい。これ食べな?」


そう言って、

肉や野菜が入った紙皿を
阿部くんがくれた。


「………」


やっぱり阿部くんって
何だかんだ優しいんだ…

図書室で感じたことは
気のせいだったのかな。


「あのさ、川の方に行かない?」

「え、でもバレたら先生に怒られるよ?」

「だーいじょうぶだって」

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