この空の下で
希望の朝
 この空の下で、私達は生まれた。

 そして私たちは今までの両親と、家族として血がつながっていると思っていた。

 しかし知らない過去によって私たちの記憶は書き換えられていた。

 今までこのことに気付かなかったのは、生活が普通の家庭と変っていなかったからだ。

 私は千葉にある病院で生まれ、僕は埼玉の病院で生まれた。

 そして私の両親は私を捨てて、僕の両親は僕を残してこの世を去った。

 私は母を一人失い、僕は二人の母を失った。

「私が嫌いなの?」大地に問いかけても応えてくれない。

「何でいないの?」天に聞いても彼らは応えてくれない。

 私達には実の親がいない。

 だから養子としてある家族に引き取られたのだ。

 彼らも私たちと同じように大事な人がいない。

 彼らは人生のどん底にいたのだ。

 だから私たちの気持ちは彼らがよく分かってくれ、察してくれた。

 そして助けてくれた。

 いつも、いつも。

 なので、私たちは普通でいられた。

 私たちも彼らのことを思った。

 そして愛した。

 しかし、その愛は突如変わった。

 ある事件が起こってからだ。

 養子である私たちは互いに支えあった。

 その結果、私たちは…。

 私たちはこの事実を知るまで大好きなお父さん、お母さんとして暮らした。

 私たちは楽しく生きようと思った。

 どんなに辛くても助けてくれる人がいることを分かっていたからだ。

 そして、私たちは強くなると、深く心に刻んだ。

 彼らのために、私たちのために。
< 1 / 173 >

この作品をシェア

pagetop