この空の下で
 そしてまたくだらない自分の突発的な空想に浸り始めた。この空を眺めている人はどんな人なのか、空が赤くなる理由など。よくよく考えると、こんな時間があるということは、だいぶ時間が経っているということだ。

 要はまだ考えているのであろうか。私は体を起こして、ドアの前を見た。すると、要はそこにいなかった。

「あれ…どこにいったんだ」

 辺りを見回しても見つからない。多分、自分の部屋に戻ったのであろう。しかしなぜなのかは分からない。

 とりあえず私は、部屋を出て要の部屋に向かった。


「ねぇ、なんで行っちゃったの」

 部屋に入るなり、質問をする私に、要は呆れたような顔をしていた。

「だってお前、まったく人の話を聞こうとしないんだもん。せっかく頑張って思い出したのに、そっぽ向いてるんだもんな。ひどい話だよな」

 私の頬は急に熱くなった。そして素直に自分の過ちに気がつき、すぐに反省した。

「ゴメン。考え事してたのよ。許して」

「まぁ…そこまで怒ってはないけど…」

 この要の緩みを機に、私はすぐに開き直った。

「で、どんな話だったの」

 要は首を横に振り、重いため息をついた。

「お前、嫌われるぞ」


 その後の要の言った言葉は、私の予想とは大きく違っていた。

 それは、葵さんは要だけに現在の家庭事情についてのアンケートをとっていただけであった。そして、私が寝ていた頃、四人でお菓子を食べていたそうだ。私を呼んだらしいが、案の定、私は寝ていたので、下りて行かなかったことに、食べないと勝手に解釈したようだ。食べ終わるなり、葵さんは帰ると言って、家を後にした。これが今日起こった、すべてのことである。
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