この空の下で
「あれから二週間。なんか気が抜けるな」

「そう。私の場合、受験が終わってからも、勉強しなきゃって、思っちゃってしょうがないわ」

 学校の説明会も終わり、高校から山ほど宿題が出ていたが、俺らは居間でゴロゴロしていた。母さんは買い物へ行っており、今は二人きりだ。

 俺はソファーの上で、読書をしている。去年、総体が終わったその後、受験勉強が面倒くさかったので、ふと一冊の本を手に取ったら目覚めてしまった。それっきり、小説、新書など、幅広いジャンルを読んでいる。そして今読んでいるのは新書である。血液型と遺伝についての本だ。なかなか興味深い。

 いつの間にか十二時を回り、深雪が二階に上がっていったのに気付かず、俺は本に没頭していた。

 母さんはなかなか帰ってこない。どうしたのだろうか。

 俺は母さんを心配しつつ、ページをめくったその時だった。ページの右下に、小さな表があった。そこには両親の子と血液型と記されていた。

 へー、こんな仕組みになっているんだ。

 俺は親の血液型で子供の血液型が決まることを初めて知った。そのページを読み、次のページに移ろうとしたその時、俺の心の中に一つの疑問が残った。

「あれ…おかしいぞ…なんで」

 俺はページを戻し、先ほどの表に父さんと母さんの血液型を当てはめた。父さんと母さんは共にA型。だからこの表をたどると、生まれる子供の血液型はAかO型以外であるはずがない。しかし、俺の血液型はAB型。そして深雪はB型。一体なぜ。
< 146 / 173 >

この作品をシェア

pagetop