この空の下で
 その後、深雪は父さんからすべてのことを知った。俺達がここに至った経緯、母さんの身に起こったことなど、すべてを聞いた。どうやら深雪と父さんの間には、血を越えた絆ができたようだ。

 そして母さんはというと、深雪が出て行った後、父さんが帰ってきて僕にすべてを話している途中で倒れた。急いで病院に連れて行き、診察を受けた。その病状は軽く、ショックによるものと、軽い貧血らしい。大事に至らなくて良かったが、母さんの病弱なこともあって、一応一日だけ短期入院することになった。

 その言葉を聞いて安心したのか、深雪はベッドに戻り、そのまま寝た。

 父さんも同様、すぐに寝たが、その前に居間で寝ている僕に布団を掛けていった。そして電気を消し、二階へとゆっくり上がった。

 そして僕はベッドに入って、まず母さんのことを思った。今、病院で何を考えているのだろうか。俺達のことを、どう感じているのだろうか。そして自然に深雪の顔が浮かんだ。今、深雪はこの関係をどう思っているだろうか。そして父さんのことを思う。父さんはこの事実を知られて、どんな気持ちだろうか。俺は母さんが倒れた光景を、まぶたの裏に映した。

 しかし、その時はまだ気が付かなかったが、母さんが倒れたのは、黒い影が迫る前兆にしかすぎなかった。
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