この空の下で
「何を言ってるんだ。お前らは仮に兄妹で、本当の兄妹じゃないだろう」

「そういうことじゃなくて、市役所に俺達のこと、兄妹として届けたの?」

「ああ、そういうことか。役所から見ると、お前らは兄妹だよ。あの時は流れというか、勢いでそうしちゃったからな…」

 俺はただ呆然としていた。終わった。そう思ったのだ。

「どうしたんだ、要」

「…なんでもない」

 俺は魂が抜けたような体でゆっくり立ち上がり、居間を後にした。そして重い足取りで階段を上がり、鉛でできたようなドアノブを、力の抜けた手で握った。

 深雪はベッドの上に座り、こちらを睨んでいた。

「アンタ…さっきの…告白だったの?」

「…取り消し」

 俺はイスに座り、大きなため息をついた。

「ああ、私達って兄妹だったの。それはいいとして…アンタ、告白だったら、もっといい場所で、いい言葉を用意しなさいよね。あんなんじゃ、私ですら落とせないわよ」

 深雪は少し照れていた。頬を掻き、俺から目をそらし、頻繁に首を動かした。

「分かったよ。それは俺達の問題が解決してからだ。待ってろ」

「待ってる」
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