この空の下で
 雄治も軽くお辞儀をする。彼女は雄治の逆に座る。雄治ははっと気付いて、すぐに紹介状を差し出した。

「これが紹介状です」

「ああ、分かりました。確かに受け取りました」

 彼女は微笑みながら封筒を受け取る。そして一枚の四つ折りされた紙を広げ、黙読し始めた。しばらくしないうちに、彼女はこちらを見た。

「分かりました。なるべく、ご希望通りに添えさせていただきます。昨日生まれたお子さんなので、こちらに来るのが…来週だと思いますので、こちらから連絡を…」

 その時、縁側から声がした。

「失礼します」

 葵が障子を開けて入ってきた。そして二人の前にお茶を置いた。白い湯気が煙のように立ち上る。

「失礼しました」

 葵が出て行くと、鎌塚が胸からボールペンとメモを取って、住所、電話番号を書いた。そしてその紙とともに、一枚のメモ用紙とボールペンも一緒に渡した。

「そこに電話番号を書いてください、もし不都合でなければ住所もお願いします」

 雄治は言われるとことを、すべて書いた。そしてその紙を鎌塚に渡すと、鎌塚はすぐに目を走らせた。

「はい、結構です。ありがとうございました」

 鎌塚は軽く頭を下げた。それにつられて雄治も下げる。そして鎌塚が立とうとしたとき、ひとつのことを思いついた。

「あの、いくつか質問をいいですか」

「あ、はい、構いませんよ」

 鎌塚は快く受け入れてくれたので、少し安心した。彼女はまた座って、話を聞く準備をした。

「で、質問とは」

「それはその養子についての家族関係です。普通だったら親戚に引き取られるのが普通じゃないですか」
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