この空の下で
「そう、あなたの。その夢はあなたが子供と仲良く遊んでいたの。家族のようにね。私は遠くから見ていたわ。あなたの幸せそうな顔っていったら、本当に良かったわ…それで、私は独りぼっちだった、遠くにいたから。でもあなた達が私を呼んだの。ヨチヨチ歩きの…あなたの子供かしら。ま、とりあえず、子供が私に近づいて、手招きしたの。こっちに来て遊ぼうよ、って言わんばかりに。そして私は気付いたの。私はこのベッドの上で泣いていたの。何だったんだろう、あの時の気持ち。悲しみでもないし、喜びでもない。言葉では言い表せない何かが、一人このベッドの上で泣かせたの。だけど正しく一つだけ言えることは、体じゅうが一気に開放されたような快感があったわ。でも涙が流れた時、胸が少し痛かった。胸を通って、体じゅうがその涙に共感したわ」

 芳江はそのことを思い出しているのか、目が潤んでいた。

「それで夢から目が覚めた時、私は思ったわ。やっぱり雄治には子供が必要だってね。だから私は、養子をもらうことに、改めて賛成します」

 その時、芳江に笑顔が戻った。涙目だったが、もとの芳江に戻った。

「ありがとう…芳江」

 雄治はそのことに感銘を受けた。しかし、その良い空気が芳江の一つの疑問によって、一瞬にして消えてなくなるのであった。
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