この空の下で
 二人のもとに送られた二人の養子は、今、双子として暮らしている。二人は偶然にも、同日、同時刻に生まれたため、そういうことにしている。そしてその奇跡に感謝している。雄治と芳江は二人が養子だということを忘れて、わが子のようにかわいがっている。二人は何も知らずにすくすくと成長していった。何の疑いも持たずに、不審にも思わずに。

 三年後、雄治と芳江は新築の一戸建てを購入した。将来のために、3LDKで造られている。要と深雪は新築の家を見て、とても喜んだ。わー、これ、私たちの?と言って深雪は家に駆け込んで、はしゃいでいた。その後に要も続く。そして、深雪は要と部屋めぐりをして楽しんでいた。

 二人は友達を作り、毎日を幸せそうに、すくすくと育っていった。公園に行ったり、幼稚園に通ったり。雄治と芳江の両親の家にも行った。しかし、行くたびにいつも胸を痛めている。なので、実家に帰る回数は、なるべく少なくしている。

 二人の秘密は、雄治、芳江、加藤、鎌塚、葵、そして医師しか知らない。もちろん誰もこの秘密をばらさないと思うが。

 二人は少しトラブルもあったが、無事、幼稚園を卒園した。そのとき、雄治と芳江は泣いた。いくら自分の本当の子供ではなくても、今では立派な彼らの親になっていたのだ。
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