この空の下で
「それはな、トイレって水が流れるだろ。その出る量を抑えたり、使う人のことをいつも見守っているんだ。だから人間は安心してトイレを使えるんだよ」
父さんは勝ち誇ったような顔をして言った。今の話は完全に僕を信じ込ませた。
子供は何事も信じやすいが、僕はほかの誰よりも信じやすい。お化けだって妖怪だって信じている。だから、父さんはいつも僕にウソの話をして楽しんでいる。悪いとは思っていても、なかなかこれはやめられないようであった。
いつも話を真に受けているので、話のしがいがある、と父さんは微笑ましい笑顔で、いつもそんなことを思っているのであろうか。
その時突然、不意にドアが開いた。そこには深雪がいた。深雪は目をこすって眠そうな声で言った。
「あれ、パパ、もう話終わった?」
「ああ。じゃ、早く寝ろよ。要、深雪、おやすみ」
二人のおやすみの返事を聞き、父さんは安心した顔で出て行った。
「ねぇ、今夜はどんな話をしたの?」
深雪は興味ありげにこちらを見て言った。
「そんなことより、トイレに神様がいるってこと、知ってた?」
僕は自慢そうに言った。しかし深雪は、分かりきったような顔をした。
「それが今日のパパの話でしょ。要って分かりやすいんだから」
深雪はフフフと笑った。僕はその笑みに動揺した。
「それにトイレに神様なんているわけないじゃん」
さらに深雪は笑う。いつの間にか、僕の耳がカーッと熱くなっていることに気付いた。そして深雪は続けた。
「それにパパの話、多分、ウソばっかだよ。というより最近、パパって要のことをからかうのが趣味みたいだし」
僕はとどめを刺されたように、元気がなくなっていた。しかし、そんなことを気にせずに、深雪は言った。
「ねぇ、そんなことより、しりとりしようよ」
「…いい、もう寝る」
僕は布団をかぶった。
「なんでー、しようよ、ねえ」
父さんは勝ち誇ったような顔をして言った。今の話は完全に僕を信じ込ませた。
子供は何事も信じやすいが、僕はほかの誰よりも信じやすい。お化けだって妖怪だって信じている。だから、父さんはいつも僕にウソの話をして楽しんでいる。悪いとは思っていても、なかなかこれはやめられないようであった。
いつも話を真に受けているので、話のしがいがある、と父さんは微笑ましい笑顔で、いつもそんなことを思っているのであろうか。
その時突然、不意にドアが開いた。そこには深雪がいた。深雪は目をこすって眠そうな声で言った。
「あれ、パパ、もう話終わった?」
「ああ。じゃ、早く寝ろよ。要、深雪、おやすみ」
二人のおやすみの返事を聞き、父さんは安心した顔で出て行った。
「ねぇ、今夜はどんな話をしたの?」
深雪は興味ありげにこちらを見て言った。
「そんなことより、トイレに神様がいるってこと、知ってた?」
僕は自慢そうに言った。しかし深雪は、分かりきったような顔をした。
「それが今日のパパの話でしょ。要って分かりやすいんだから」
深雪はフフフと笑った。僕はその笑みに動揺した。
「それにトイレに神様なんているわけないじゃん」
さらに深雪は笑う。いつの間にか、僕の耳がカーッと熱くなっていることに気付いた。そして深雪は続けた。
「それにパパの話、多分、ウソばっかだよ。というより最近、パパって要のことをからかうのが趣味みたいだし」
僕はとどめを刺されたように、元気がなくなっていた。しかし、そんなことを気にせずに、深雪は言った。
「ねぇ、そんなことより、しりとりしようよ」
「…いい、もう寝る」
僕は布団をかぶった。
「なんでー、しようよ、ねえ」