この空の下で
 部屋に戻ると、やっと安心した。なぜかというと、トイレではお化けが出てこないか緊張したし、部屋に戻る途中でも、お化けのことを考えていたので怖かった。しかし、トイレでも廊下でも何も起こらなかった。僕のスリッパの音が、暗い廊下にこだまを残しただけであった。

 僕は布団にもぐった時、神様を信じた。そして胸が急に熱くなった。僕の身に何も起こらなかったのは神様のおかげだ、そう信じたのだ。

 神様はいる、僕はその言葉をしみじみと噛みしめた。そして父さんと神様に感謝するのであった。ありがとう、と。

 そして僕は布団の中でうずくまり、深い眠りに落ちた。


 その夜、僕は夢から引っ張り出された、

 気付くと、深雪が僕の体を揺り動かしていた。深雪は眠そうな目で僕に言った。

「要、トイレについてきて」

 深雪は僕の手を引っ張り出す。しかし僕は眠かった。なので、手を振りほどこうとしたが、深雪は思いっきり引っ張ったのか、僕を布団から引きずり出した。あーと思っても、もとの布団に戻ることができないので、しょうがないと思いながらも、僕はついていってあげることにした。

 再び廊下を通って階段を降りる時、深雪は小走りで走って先に行ってしまった。しかし僕は敢然と歩いた。

 深雪はトイレに入り、すばやくドアを閉めた。

 僕は何もすることがなかったので、寒い廊下で一人待っているしかなかった。

 しかしその時、僕の耳にひとつの声が入ってきた。外からホーホーと鳴く、ふくろうの鳴き声だ。ふくろうはリズム良く鳴いているので、ついその鳴き声に聞き入ってしまった。そしてふと外を見る。無数の星が空を瞬いている。月はうっすらとした雲がかかり、きれいだった。

 僕は風流だなと思いながらも、起きてきてよかったと思った。そして僕はぼんやりと外を眺めていると、深雪が出てきた。
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