この空の下で
 私はちらりと要の方を見た。要は引き出しを引いているところだった。私はすぐに要のもとへ駆け寄り、要の運勢を見ようとした。

「ねぇ、早く見せてよ」

「ん…うん」

 要は真ん中の巻紙をとり、おみくじを開いた。

「小吉…」

 そう言うと、要に笑みが広がった。


 あー、いいなー要は。運勢も良くて成績も良いし。今年は要にとって、すべてにおいて良い年なのかもしれないなぁ。あの時くじなんか引かなきゃ良かった。それに代わって私は…。

 何だか自分のことが悲しくなってきた。しかし、あの時にあふれてきた自信を、すぐに取り戻した。

「古葉さん、今回の成績は…」

 深雪は息を飲んだ。

「ん、ん…まあ、平均より良いってとこだけど…可もなく、不可もなく…ま、次、頑張りましょう。じゃ、次、佐川さん」

 私はそれを聞いて安心した。平均より良い。それだけが聞けただけで安心だった。私は胸を躍らせて自分の席に戻った。

「どうだったの、深雪」

 その声の主は幸恵だ。そして横から聖子が顔を出す。

「深雪、見せて」

 二人は私の親友である。幼稚園のころから二人に出会って、私は何回も二人に助けられてきた。しかし、私は彼女らの役に立ったのかは知らないのだが、私はこよなく二人のことが好きである。いつまでも一緒にいたい、私はそう思っている。

「ねぇ、見せて。お願い」

 幸恵と聖子は私に頼み続ける。今回の成績は前のより悪かったので、初めは拒んで見せようとはしなかった。しかし二人の強情さに骨が折れて、結局見せることになった。

 幸恵は通信簿を開き、聖子と顔をそろえて通信簿を覗き込んだ。

「いいじゃない。見せないものじゃないと思うけど…私の見る?」

「うん、見せて」
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