この空の下で
「はーい、はい、待っていましたよ」

 峰倉さんは私を中へ招き入れた。

 峰倉さんの家は非常にきれいに整っていて、各家の独特のにおいを発していた。そのにおいは別にくさくもなく、あえて言うのであれば気にならない、といったにおいであった。私は峰倉さんの後をついていき、そのまま居間に入った。

「さぁ、どうぞ」

 峰倉さんはイスに指差して、台所へと入っていった。私は峰倉さんの言うとおりに、指定されたイスに座った。すると峰倉さんは、今まで見たことがない料理を持って、台所から出てきた。言ってはいけないが、けっこうおぞましい。

「なんですか、それ」

 私は聞いてはいけないようなことを聞いてしまったような感じがした。自分からまずそうだと言っているのと同じような気がしたからだ。

 しかし峰倉さんはそんなことを気にしないで話し始めた。

「ふふん、これはね、新作よ。誰かに感想がほしくって」

 峰倉さんはなんだかわくわくしているようであった。普通の人だったら、人の口に合うか不安になるはずなのに。

「ささ、どうぞ」

 峰倉さんはうれしそうだった。箸を渡され、それを食べなくてはいけない状況になり、どうしようかと思ったが、腹をくくって食べることにした。

 その奇物をつまみあげ、ゆっくりと口に持っていった。ここでぽろっと落とそうとしたが、さすがにそんなことを人前ではできない。まして作った張本人の前なんかで落とせるはずなんかなかった。

 口の中に入れ、舌の上に置いた。そしてゆっくり噛み始める。

「どう」
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