この空の下で
ついに運動会、当日になった。
外は快晴でもなく晴れでもなく、生憎の曇り空であった。しかし私の体調は、朝起きてから今に至って変わらずに快調である。今日は例年と同じようにはなさそうなので、少し緊張した。もしも、と考えてしまうだけで頭がくらっとなる。やはり峰倉さんの言う通り、気持ちの問題なのであろうか。
私は今日の弁当をつくり、家事も自分のこともなにもかも済ませ、後は雨が降らないことを祈るだけだ。
雄治は先に行って場所をとっていてくれている。後は自分が行くだけだ。
「よし、行くか」
私はドアに鍵をかけて、暗く鳥肌が立つような風が吹く外へ出た。
住宅街は恐いほどひっそりとしていて、公道は誰も歩いていない。車もめったに通らず、堂々と道の真ん中を歩けそうだ。しかし車が来る時は面倒なので、あえて道の端を歩いた。
黒い雲をつかむように手を天高く突き上げ、雲を掻き分けるように手を動かした。
そんなことをしながら歩いていると、背後から峰倉さんの声がした。
私が振り向くと、峰倉さんは駆け足でやってきていた。
「古葉さん、今日は頑張ってね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「それじゃ」
峰倉さんは微笑みながら、自分の家に帰っていった。
ほっと胸をなでおろすと、なんだか少し気持ちが落ち着いてきた。と同時に空も晴れてきた。天気予報では雨が降るかも、と言っていたのに。
道行く車や人々は、全部学校の方向に向かって行く。みんな笑顔に満ちていて、学校へ向かっている。私もなんだかわくわくしてきた。
「おーい、こっちだ」
雄治の声が左方から聞こえた。私は人と人の中を掻き分け、小走りで雄治のもとへ駆け寄った。そこは前から二番目の席で、まあまあ良いと言える。
「雨だって言ってたのにな。こんなに外れるときがあるんだな。ま、いいけど」
雄治はビデオカメラのセットをしながら、苦痛そうな声で言った。
「そうだね」
私はその場に敷いてあるビニールシートの上に座り、砂上の少年少女を見つめた。ただなんとなく見つめているのである。
外は快晴でもなく晴れでもなく、生憎の曇り空であった。しかし私の体調は、朝起きてから今に至って変わらずに快調である。今日は例年と同じようにはなさそうなので、少し緊張した。もしも、と考えてしまうだけで頭がくらっとなる。やはり峰倉さんの言う通り、気持ちの問題なのであろうか。
私は今日の弁当をつくり、家事も自分のこともなにもかも済ませ、後は雨が降らないことを祈るだけだ。
雄治は先に行って場所をとっていてくれている。後は自分が行くだけだ。
「よし、行くか」
私はドアに鍵をかけて、暗く鳥肌が立つような風が吹く外へ出た。
住宅街は恐いほどひっそりとしていて、公道は誰も歩いていない。車もめったに通らず、堂々と道の真ん中を歩けそうだ。しかし車が来る時は面倒なので、あえて道の端を歩いた。
黒い雲をつかむように手を天高く突き上げ、雲を掻き分けるように手を動かした。
そんなことをしながら歩いていると、背後から峰倉さんの声がした。
私が振り向くと、峰倉さんは駆け足でやってきていた。
「古葉さん、今日は頑張ってね」
「あ、はい。ありがとうございます」
「それじゃ」
峰倉さんは微笑みながら、自分の家に帰っていった。
ほっと胸をなでおろすと、なんだか少し気持ちが落ち着いてきた。と同時に空も晴れてきた。天気予報では雨が降るかも、と言っていたのに。
道行く車や人々は、全部学校の方向に向かって行く。みんな笑顔に満ちていて、学校へ向かっている。私もなんだかわくわくしてきた。
「おーい、こっちだ」
雄治の声が左方から聞こえた。私は人と人の中を掻き分け、小走りで雄治のもとへ駆け寄った。そこは前から二番目の席で、まあまあ良いと言える。
「雨だって言ってたのにな。こんなに外れるときがあるんだな。ま、いいけど」
雄治はビデオカメラのセットをしながら、苦痛そうな声で言った。
「そうだね」
私はその場に敷いてあるビニールシートの上に座り、砂上の少年少女を見つめた。ただなんとなく見つめているのである。