この空の下で
「おい、あの子、可愛くないか」

「そうか」

 それは相変わらずに人とはまったく違う趣味をたどっていた雄治の姿があった。高校に無事入学し、そろそろ学校に慣れてきそうなころに、雄治は見た。

 オレは廊下の窓際の壁にもたれかかり、目の前のある一点を見つめていた。そして友人がオレにあきれたような顔で言った。

「お前、もっと広く視野を持てよ」

 友人は教室から廊下に出てきたある女子を見かけた。

 これが二人の出会いであった。

 そして友人がオレの肩を引っ張った。

「おい、見ろよ、あの子」

 友人はひどく興奮し、さらに肩を強く引っ張った。そのこともあったのか、少しは興味があったのかは分からなかったが、ふとその方を見た。視界に一瞬、美しい髪、きれいな輪郭がくっきりと見えた。そして顔がはっきりと視界に写る。

 そして彼女が自分の前を通るとき、気持ちのいい香りを残して過ぎ去った。

「ああ、オレ、あの子がいい」

 友人もすでにメロメロであった。


「…じゃあ、授業はここまで。号令」

 チャイムがなり、昼休みになった。オレと友人らは、机をつなげて小さな班をつくった。そして弁当を取り出し、食べ始めた。友人とは中学校からの付き合いが多く、今でも友好な関係を築いている。
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