君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

「中本が、翔磨のことで落ち込んでるときに、言うことじゃないよな…。ごめんな」

「…ううん」


もうちょっと、自分のことを考えたらいいのに…。

こんなときまで私を気遣って…。
桜木は優しすぎるよ。


「でも、俺は本気で中本が好きなんだよ。翔磨には悪いけど、俺は付き合ってもたくさん話しかけるし、中本に不満をたまらせたりしない。俺から別れを切り出すなんて、絶対にしない」


こんなの口だけだ。

って思うような言葉なのに、桜木が言うと本当だと信じられる。

今までの、優しくて真っ直ぐで、強い桜木を見てきたから。


「中本が翔磨を忘れられないんなら、忘れる為に俺を利用してもいいから。付き合ったら、俺を好きになってもらえるように、頑張るし」


…ねぇ。
それ、本気で言ってるの?

翔磨を忘れる為に、桜木を利用するなんて…。


でも、私への想いが、どれほど真剣なものかが、わかったよ。


「今は心の準備が出来てないから(笑)また今度、返事してな」

「…わかった」

「うん!じゃあ、委員会戻るか!」


そう言って、委員会をしてた教室に戻ったけど、もう終わっていたので、それぞれ部活に行った。


失恋して、悲しくて泣いた日。

人生で初めて、告白された日。


正反対のことが、同じ日に起こってびっくりしたけど、桜木の優しさがいつもよりもっと、心に染みた。


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