君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

それから、また何週間か過ぎて、高山祭まで、あと半月ほどになった。


桜木の気持ちを知って、気まずくなるかな?と思っていたけど、今まで通り普通に接してくれている。


そういう優しい桜木を見ると、どういう返事をすればいいのか戸惑ってしまうから、未だに返事はしていない。

今は、高山祭のことでお互い忙しい時期だし、返事は高山祭が終わってからにしよう、と考えてはいるけど。


翔磨のことは、だいぶ気持ちの整理ができて、思い出しても泣くことはない。

だけどやっぱり、愛里と実行委員会で毎日のように話して、時々一緒に帰ってる姿を見ると、かなり落ち込む。


そんなブルーな気持ちを変えてくれるのは、他でもない部活だ。


今年の実行委員長は、去年の先輩よりもさらにしっかりしてて、要領がいいから、結構早く終わることが多い。

だから、今日と明日の2日間は、高山祭前にもかかわらず、実行委員会がなくなって、まるまる部活に行けるようになった。


久しぶりに、最初から最後まで行ける部活。

下校時間まで、思う存分吹けるホルン。


ごく普通のことなのに、高山祭実行委員になると、それが飛び跳ねたいぐらい嬉しく感じる。


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