君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

「ごめん!待った?」

「ううん、今来たとこ。急にごめんな?」

「いやいや、大丈夫だよ!」


左手には傘。
右隣には桜木。
前には駅。

今日は家で、ゆっくりする予定が、急遽変更。

桜木とお出かけ、になりました。


今から約3時間前、休みの過ごし方をあれこれ想像していると、リビングの電話が鳴った。

すぐ横にはお母さんがいたけど、あいにく朝ご飯を作っている途中。


仕方がないから私が出ると、最近よくかかってくるお家の、最近よく話す人からの電話だった。


「もしもし、中本です」

『あ、おはようございます。高山中学校2年2組の桜木春人です。こなさんは、いらっしゃいますか?』

「…ぷっ。私だよ?」

『え?あ、え!?中本本人だったの?』

「うん。お母さんだと思ったの?」

『そうだよ。声、似すぎだろ。っていうか、わかってんなら途中で止めてよ』

「そうかなー?…だって、あまりにも真剣な声だったんだもん。止められないよー」

『うわ、恥っず…』


そんなやりとりを交わした後に、桜木から誘われたのだ。


『あ、そうだ。高山祭延期になっただろ?今日、なんか予定ある?』

「特にないけど…なんで?」


『…もしよかったら、今日…遊ばねぇ?』


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