君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

「遊びに?誰と?」

『いや、中本と俺…だけど…』

「…2人で!?」

『うん。…嫌だよな?』

「…いや、遊ぼう!何時にどこにする?」

『いいの!?じゃあ、10時に駅の前で!』


2人で遊ぶって聞いて、どうしようか迷った。

桜木は私のことが好きだから、これはデートってことだよね…と思ったから。


でも、桜木にはいつもお世話になってるし、一緒に遊ぶことで桜木が喜ぶなら、行こうかなと思ったんだ。


電話を切って、すぐに用意を始めた。

お母さんが作ってくれた朝ご飯を食べて、歯を磨いて顔を洗って。


「さっきの電話、誰だったの?」

「…桜木。今日、桜木と遊んでくるね」

「桜木君?って、この前こなを送ってくれた子よね?…遊びに行くって、もしかしてデート?」

「…そうかもしれない。じゃあ、服着替えてくるー」


興味津々の顔で聞いてくるお母さんに、手短に返事をして自分の部屋に戻った。


私は、なぜかお母さんに嘘がつけない。

友達からの電話で、今から遊んでくるっていえば、なにも聞かれなくて済むのに、どうしてか隠し事が出来ないんだ。


クローゼットから、服をたくさん引っ張り出したけど、どの服を着ようかなかなか決められなくて、待ち合わせ時間に少し遅れてしまった。


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