君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
「どこ行くの?」
「…とりあえず、電車乗って隣町行こう」
「わかったー」
紺と白のボーダーニットに、デニムのショートパンツ。
肩辺りで切りそろえられた髪には、アクセントとして赤いベレー帽をかぶせた。
いっぱい悩んで決めた服を着て、桜木の横に並んで歩く。
でも、さっきから桜木は無言。
やっぱり、遅刻したの怒ってるのかな?
「あの…桜木?本当にごめんね?」
「…え、なにが?なんで謝んの?」
「遅刻したの…怒ってるんでしょ?」
「…いや、全然」
「でも、桜木ずっと黙ってるから、怒っちゃったのかなって…」
「あー、いや。そういうわけじゃなくて…」
謝ってみたけど、桜木の言うとおり、本当に怒ってなさそうだ。
じゃあ、なんで?
そう思って桜木を見上げると、なぜか顔が真っ赤で、「こっち見んな」と言ってきた。
そう言われたら、余計気になる。
「なんでそっけないの?」
「別に…」
「なんで桜木を見ちゃいけないの?」
「…いいから」
「なんで顔が真っ赤なの?」
「…っあー!もうっ!」
赤ずきんちゃんがオオカミさんに聞くように、私も桜木を問いただす。
桜木は小さく叫んだ後に、諦めたように話してくれた。
「……………だよ」