君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
「うわー、見てー!」
「これ、イルカ?」
「そう!かわいくない?」
「じゃあ、買ってやるよ」
「え?いいよ!自分で買う!」
「いいっていいって!今日付き合ってくれたお礼」
「…ありがとう!」
セイウチショーを見て心が和んだり、不思議な魚と写真を撮ったりして、楽しく過ごした時間は、あっという間だった。
日が沈み始めた今は、水族館の出口にあるお土産屋さんでグッズを見ている。
桜木が買ってくれると言ったのは、小さいイルカのストラップ。
すごくかわいかったし、幸運のお守りっぽかったから、欲しいなって思ったんだ。
ただ、桜木が買ってくれてから気付いたんだけど、そのストラップは2つセット。
ピンクと水色の、色違いのイルカだ。
こういうのって、カップルでお揃いにしたりするのかな?
そう考えていると、桜木がお会計を済ませて、私にストラップを渡してくれた。
でも、そのストラップは、愛くるしい顔をしたピンクのイルカのみ。
「この、水色のイルカ、俺が貰ってもいい?お揃い…ダメかな?」
「もちろんいいよ!」
いいんだけど…
これ以上桜木といたら、私は逃げちゃう。
…だから、言わなくちゃ。