君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

「うわー、見てー!」

「これ、イルカ?」

「そう!かわいくない?」

「じゃあ、買ってやるよ」

「え?いいよ!自分で買う!」

「いいっていいって!今日付き合ってくれたお礼」

「…ありがとう!」


セイウチショーを見て心が和んだり、不思議な魚と写真を撮ったりして、楽しく過ごした時間は、あっという間だった。

日が沈み始めた今は、水族館の出口にあるお土産屋さんでグッズを見ている。


桜木が買ってくれると言ったのは、小さいイルカのストラップ。

すごくかわいかったし、幸運のお守りっぽかったから、欲しいなって思ったんだ。


ただ、桜木が買ってくれてから気付いたんだけど、そのストラップは2つセット。

ピンクと水色の、色違いのイルカだ。

こういうのって、カップルでお揃いにしたりするのかな?


そう考えていると、桜木がお会計を済ませて、私にストラップを渡してくれた。

でも、そのストラップは、愛くるしい顔をしたピンクのイルカのみ。


「この、水色のイルカ、俺が貰ってもいい?お揃い…ダメかな?」

「もちろんいいよ!」


いいんだけど…
これ以上桜木といたら、私は逃げちゃう。

…だから、言わなくちゃ。


< 110 / 163 >

この作品をシェア

pagetop