君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
「桜木!」
「ん?」
「今日はありがとね。楽しかった!」
「そっか。良かった!俺の方こそありがとな」
本当に嬉しそうに、白い歯を見せてニカッと笑う桜木。
その爽やかなかっこよさに、思わず目が釘付けになる。
私はこの笑顔に、何度も何度も助けられたんだ。
「でさ…この前の返事なんだけど……」
「…え…今?高山祭の後じゃ…無理?」
「ううん。…今、言わせて?」
告白の返事の予想がついているのか、笑顔とは真逆の、泣きそうな顔になる桜木。
「…桜木は、私の小さな変化にすぐ気が付いて、たくさん慰めてくれたよね」
「………」
「そんな優しさが、すっごく嬉しかった。ありがとう」
「…うん」
「いっぱい話をして、桜木のことを知っていったら、ますます大切で、大好きな人になりました」
「…え?」
「…だから、桜木とは付き合えない」
「……っ」
「大切で大好きな人だからこそ、翔磨を忘れるために利用するなんて、出来ないよ…」
「…そっ、か」
ごめんね。
気持ちに応えられなくて、ごめん。
桜木のことは好き。
だけど、恋愛感情としての“好き”は、翔磨だけなんだ。