君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

翔磨よりも先に桜木と話してたら、桜木のことを好きになってたかな?

でも、たぶんそれはないと思う。


もし、1年生の最初に、桜木と隣の席になって仲良くなっても、翔磨のことを知ったら、私は翔磨に一目惚れしてた。

それほど、翔磨のことが諦められないんだ。


目の前で、下を向いて落ち込んでいる桜木を見たら、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「…なぁ、中本」

「…えっ、何?」

「俺、中本を好きになって良かったよ。すぐには諦められないけど、翔磨と上手くいくように応援してる」

「…うっ…」


「え!ちょ、なんで中本が泣くんだよー!泣きたいのは俺の方なんだけどー(笑)」

「…私っを、好きっになってくれてっ、ありっがと…」

「…いえいえ!」


泣くのは私じゃないってわかってる。

だけど、涙が出てきて止まらないんだ。


さっきとは打って変わって、明るい声を出し笑ってる桜木。

無理、してるよね。
本当は泣きたいのに、私が困るから、泣かないんでしょ?


いつまでもどこまでも優しい桜木。

そんな人が私を好きになってくれて、嬉しい。

そんな人と仲良くなれて、良かったよ。


言葉じゃ言い表せないぐらい感謝してる。

桜木、ありがとう。


そして、私達は水族館を後にした。


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