君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
全員入場し終わり、すぐに1年生のレースが始まった。
どのクラスも、一回はバトンを落としていたけど、みんな初めてで一生懸命練習したのか、結構な接戦だった。
“みんな、ちっちゃくてかわいいな”
“私も去年、あんな感じだったのかな”
とか思って、ほのぼのしながら見ていたけど、あっという間に2年生のレース。
ドキドキしながら、自分のスタート位置に立つ。
私は前から10番目。
まーちゃんからバトンをもらって、アンカーの子に渡す。
さっきまでは全然だったのに、急にお腹が痛くなって、汗が吹き出る。
緊張しやすい体質、っていうのは本当に嫌だ。
1人で緊張感と闘っていると、視界の端に大きく手を振る人が見えた。
その人の方を見ると、誘導係として座っていた桜木だった。
どうやら私に向けて手を振っているらしく、小さく手を振り返すと、満面の笑みがくしゃっと崩れ、タコみたいな顔に。
おかしくて、私がぷっと吹き出すと、また満面の笑みに戻り、口パクで
「が・ん・ば・れ」
と言ってくれた。
私が緊張しているのに気付いて、変顔で笑わせてから、エールを送ってくれた。
それに、前と何にも変わっていない関係で接してくれたことが、なによりも嬉しかった。
桜木に、とびきりの笑顔で頷くと、バンッとピストルがなった。