君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

第一走者の5人が一斉に走り出し、それと同時にあちこちからの応援が聞こえた。

私達のクラスは順調な滑り出しで、他のクラスと少しの差をつけて1位だった。


バトンは落ちることなく、まーちゃんまでまわってきて、いよいよ私の番。

腕を後ろに出して待ちかまえていると、バトンが落ちる音がした。


え?と思って後ろを振り向くと、私の手に乗らなかったバトンと、うつむいているまーちゃんが見えた。

小さく肩を震わせている姿は、なんだか泣いているように思えた。


まーちゃんに話しかけたいけど、今はレース中。

すでに何人かに抜かれてしまっていたけど、最下位にはなりたくないので、とりあえずバトンを拾って走った。


急いでアンカーの子にバトンを渡して、後ろ姿のまーちゃんを呼ぶ。

「まーちゃん!」


だけど、まーちゃんは振り向くことなく、走って集合場所に向かっていった。


…あれ?
私、まーちゃんに無視された?

いやいや、そんなはずないよね。
きっと、聞こえなかったんだよね。

結構、大きい声出したつもりだったんだけどなぁ…。


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