君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
感動の引退式から数日後、1・2年生だけの部活にだんだん慣れてきた。
だけどやっぱり、戸惑うことの方が多い。
後輩に質問された時に上手く答えられなかったり、練習の進め方に手こずったり。
ホルンの新しいパートリーダーになった私は、近頃改めて先輩のすごさを実感している。
そんな、新しいことに苦戦しているときだ。
事件が起こったのは。
あれは、今から3日ほど前のこと。
いつものように楽器を用意して、出欠をとり終わると、先生が部室に入ってきた。
今日は合奏の日じゃないのに、どうしたんだろう?と思っていると、先生が前に立って話し始めた。
「今日は、冬休みにあるアンコンの話です」
先生がそう言った瞬間、2年生全員の顔が真剣になる。
1年生は、まだ何のことか知らないから、首を傾げている。
「1年生は知らないわね。アンコンことアンサンブルコンテストは、3人~8人の少人数で、指揮者なしで演奏するコンクールみたいなものなの。」
先生の説明を聞いて、たぶんほとんどの1年生がわかったはずだ。
「今年も、うちからはグループを3つ出場させるつもりなんだけど、今年の2年生は少ないから、一部の1年生にも出てもらおうと思います」
その言葉に、みんながざわめきだす。
1年生を出場させるなんて、高山中では初めてだと思う。
毎年、2年生だけが出ていたから。