君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

ますます不思議に思って、奈実ちゃんを見ると

「すみません」

と謝ってきた。


理由を知りたかったんだけど、ちょうど下校時間のチャイムが鳴ってしまい、結局わからずじまい。


2人は、イスを戻して部屋の窓を閉めると、そそくさと出て行った。

私とまーちゃんは、首を傾げるしかなかった。


それからというもの、真優花ちゃんと奈実ちゃんは、毎日長い基礎練習をして、少しだけ曲を吹く、という感じ。

気になって仕方がない私は、何度も訳を聞こうとしたけど、言いたくないのかな?と思って、無理には聞き出せなかった。


…だけど、とうとう、私の我慢の糸が切れたんだ。

今日も、2人の様子を気にしながら、まーちゃんと教えあっていると、奈実ちゃんが私達の方に向かって歩いてきた。


理由を言う気になったかな?
これからは頑張ってくれるかな?

という期待を持って

「どうしたの?」

と聞いた。


すると奈実ちゃんは

「私と真優花、アンコン出たくないです」

と、気まずそうな顔で口にした。


アンコンに出たくない…?

なに、言ってるの…?


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