君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

あの、私が泣いてしまった、去年の高山祭の実行委員会の日。


愛里と翔磨がお似合いだってことで、みんなが盛り上がって、愛里にどんな関係かを聞いた。

すると愛里は、

「んー、まぁな!翔磨君とうちは…ふか~い関係?」

と言ったんだ。


今思えば、この深い関係っていうのは、いとこっていう意味だったと理解できる。


それから、みんながさらに問いただして、愛里が翔磨のことをどう思っているか聞いた。

「うちは翔磨君のこと好きやけどなー」


あの時は衝撃を受け過ぎてたけど、これも今は、いとこっていう意味だってわかる。


そう考えたら、

「友達としてじゃなくて、愛里のこと、好き?」

「うん。好きだよ」


という、私の心を黒く染めた会話も、恋愛感情じゃなかったんだと、安心できた。


「…良かった。まだ望みはあるんだ…」

今度は叫ばずに、小さな声でつぶやく。


あの日に諦めなくて、本当に良かった。

悲しくて辛くて泣いちゃったけど、やっぱり想い続けてきて良かった。


桜木の優しさに甘えて、桜木と付き合っていたら…なんて、時々考えるけど。

今のこんなに幸せな気分は味わえなかったし、まーちゃんも桜木も幸せになっていなかったと思う。


だから、みんなを幸せに導いてくれた愛里に感謝しなくちゃ。

素直な気持ちを知った今、愛里を許さないわけないよ。

またどこかで出会えるといいな…。


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