君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
そう思った時だった。
先生と共に、美由希がバスに乗ってきたのは。
「遅れてすみません!」
「はい、じゃあ全員揃ったので出発します!山下さんが遅れてきたのは、やむを得ない理由があったから、責めないであげてね」
先生に促されて、席に着いた私と美由希。
先生は、1人で前に立っていた私を見て不思議がっていたけど、深く聞かないでくれて助かった。
バスが走り出してしばらくしても、美由希との間に会話はなし。
今私から話しかけるのは、いつもよりもっと難しい。
バスの後ろの座席から聞こえてくる、にぎやかな男女の声を聞くと、さっきの光景が思い出される。
みんなからの視線。
胸に突き刺さる言葉。
味方がいないかのような孤独感。
果乃ちゃんも結那ちゃんも、翔磨も。
もしかしたら、「やめなよ」って言って助けてくれるんじゃないかって思ってた。
でも、そんなことできないよね。
自分も色々言われるんじゃないかって、怖いよね。
私も同じ立場だったら、きっと何にも言えなかったもん。
だから、“友達なのに助けてくれないなんて”とか、そんな気持ちは全くないよ。
…ただ、あの人たちに、ずっと文句を言われるんじゃないかって、これからの生活が少しだけ怖い。
そんな気持ちになりながら、窓の外を眺めていた。
会話がないまま、バスは駅に到着した。