君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
それから、2人で適当に歩いて回ったけど、会場は広いし人は多いし、お互いの家族が見つかるはずもなく…。
こんなときに携帯があったら便利だろうけど、私も翔磨も持っていない。
付き合ってるときも携帯を持っていれば、メールとかで毎日話せたのになぁ…。
そんなことを考えながらも、ずっと沈黙は気まずいから、ときどき他愛ない話をして歩き続けた。
20分ぐらい歩いて、さすがに疲れたなぁ…、と思ったら
“ぐうぅ~~~”
私のお腹が盛大に鳴った。
人が多いせいで自然と密着している翔磨には、その音がはっきりと聞こえたみたい。
「ははっ、確かにお腹空いたね。何か食べよ?」
私は真っ赤になった顔を隠すように俯いて、小さく頷いた。