君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

私ってほんとに…くじ運ないな。

カメのぬいぐるみなんか、誰も持ってるわけな「はい!」


「…え?」

「はい、おねえちゃん。まいのやつ、かしてあげる!」


目の前には、大きな目をキラキラさせて、私を見上げる5歳くらいの女の子。
その子の手には、手のひらサイズのカメのぬいぐるみ。


「あっ、ありがとう!」

「ううん!がんばってね!」


私って…くじ運最強。

あんなにかわいい子、初めて見たかも。

いや、どこかで見たことある顔だから、誰かの妹かなぁ…?

また後で、お礼言いに行こっと。



“バンッ!”

ピストルの合図と共に、たくさんの拍手がおこる。


あの後、必死に走った私は無事ゴールし、1年5組は抜かされずにそのまま5位となった。


私が抜かされなかったのは奇跡だよ。
それもこれも、あの女の子のおかげだ。
まいちゃん、ありがとう!


クラスの応援席に帰ると、みんなが“ありがとう”と言ってくれた。

クラスの役にたてたみたいで、なんか嬉しいな。

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