君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

『プログラム6番、高山中学校。………指揮は吉田佐喜子です』

パチパチパチパチ


先生が指揮台に上がって指揮棒を構えると、みんなも一斉に楽器を構える。

全員のブレスが重なり、すぐに曲に入る。


最初はかっこよく大きな音で。

次はピッチを合わせる。

ハーモニーの出だし、遅れないように。

メロディーは、他の音を包み込むような優しい音で。

スピードアップしても、一つ一つの音を大事に。

最後は迫力のある、きれいなクレシェンド。


…パチパチパチパチ


終わった…。
長かったような短かったような…。

私的に、手応えはある。

絶対に金賞とれる!ような気はしないし、絶対銅賞だ…。っていう気もしない。


それだったら銀賞だけど、銀賞の気もしない。

うーん。
やっぱり私にはわからないや。


でも、周りを見てみると、先輩も同級生もみんな、満足そうな顔をしてる。

先生も、最近よく見てた険しい顔なんかじゃなく、微笑んでいる。


これは、もしや…。
金賞、とれるんじゃ…!


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