君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~

最初の実行委員会から1週間が過ぎた。


まだ高山祭までは時間があるから、ずっと部活に行けないという訳ではない。

正直、もうちょっと練習したいな、とは思うけど。


でも実行委員でも友達が出来て、去年よりもさらに楽しく活動できている。

ある一つのことを除けば…。


「しょーうーまーくーんー!」

「愛里ちゃん。どうしたの?」

「今日、一緒に帰れる?」

「あー、ごめん。今日は早く終わりそうだから、部活行くんだ」

「えー。おもんなーい。じゃあ、明日は?」

「うーん。放課後にならないとわからないかも」

「そっかー。わかった!もし帰れるんやったら、言ってな!」

「うん」


ある一つのこととは、もちろん翔磨と愛里のことだ。


実行委員会中、女子と男子に別れて役割分担を決めているっていうのに。

愛里ったら、すぐ男子のところ(正確に言えば翔磨のところ)に行く。


同じ学年の実行委員と一緒に、愛里の適当さに呆れていた。

「もうちょっと真面目に仕事してよー」

「ごめんごめん!」

最初こそ、本当に腹が立って、愛里のことを悪く言っていたみんなも、今では本気で怒る人はいなくなった。

面白くてリーダーシップもとれて、やるときはしっかりやる。

たぶん、そんな愛里を知ったから。


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