君ともう一度~入れ替わってから知った気持ち~
「…私、1年生の始めに…翔磨と付き合ってたの…」
「うん」
「でも…全然話せなくて…不満がたくさん出てきて…」
「うん」
「…まだ…好きだったのに…私…自分から振っちゃって…」
「うん」
「別れたのに…いつまでも諦められなくて…」
「うん」
「…2年生になってからも…ずっと好きで…」
「うん」
「実行委員…一緒になれて…すごく嬉しかったの…」
「うん」
「だ、けど…さっき…翔磨が…愛里の、こと…好き、って……っ」
思い出して、口にすることで、引いたはずの涙が、また戻ってきた。
途切れ途切れで、言ってることが自分でもよくわからなかった。
それでも、桜木は相槌を打って、真剣に話を聞いてくれた。
「中本?話してくれて、ありがとう」
「…うん……」
「俺、翔磨と結構仲良いんだけど、今の話初めて聞いたわ」
「…そう、なの?」
てっきり、桜木は知ってるもんだと思ってた。
「うん。あいつ、秘密主義だからなー」
「…そっか…」
「うん。…中本。失恋って、辛いよなー。俺もしたことあるから、わかるよ」
「え…桜木も、あるの…?」
意外。
桜木はモテるから、したことないと思ってた。
「あるよ。たった今、した」
「…え?」
たった今って…どういうこと…?