もう恋なんてしたくない

「おお、雅樹ちゃん！おっはー」
「雅樹ちゃんだ、おはよ！」
教室にはいると、たくさん私に挨拶してくる。嬉しいはずなのだが、私はなんかむずがゆい。けど、友達付き合いも大事だから笑顔で挨拶を返す。
　そんなこんなで、私は友達となんとかうまくやっていけてるんだ。なにかと人の表情をうかがってばかりいて、自分の態度に気をつけようって意識してばかりいるから、作り笑いが本当にうまくなった気がする。きっと、皆に対して私が抱いている感情なんて誰も気づいてないはずだ。もちろん、あおいにも。そんな自信がある。
「今日は、数学のテストだよね？」
「うわ、まじかよ。最悪！」
「本当に、くそうざくね？あの禿おやじ」
女子って結構怖いよね。男子がいないとなると、モテたいなんて思うことも少なくなるから、皆だいたいがさつ。あぐらかいたり、下品な言葉使ったり、結構怖い生き物だ。まぁ、私も口には出さないけど心の中で皆のことを評価している面に関しては怖いのかもね。
「雅樹ちゃん、勉強してきた？」
ひとなつっこい笑顔で聞いてきたのは、牟田すみれちゃん。学校が始まって1ヶ月程度だが、もうクラスの中心的存在。性格もいいし、顔もかわいいから一見モテそうだが、彼女は裏の面を隠し持っているタイプだ。心の中でいろんなことを言いまくってストレス発散し、表には言い面しか見せない、いわゆる私みたいなタイプ。5段階評価でいうと、3らへん。
　こんな感じで私はクラスの皆を5段階評価で評価している。
「あまり、勉強してないから、心配だな」
皆に合わせて私も、言う。
「うそだー！雅樹ちゃん、頭いいじゃーん！」
ほら、意地悪なすみれちゃん。そんなこといわれたら、どんな反応していいのかわからないじゃん。そんな私を見て含み笑いを浮かべてる。
「そんなことないって。すみれちゃんの方が頭いいんでしょー？」
ちょっと笑いながら言い返してやる。私の引き出しにはいろんな言い返し方がつまってるんだ。どーだ、すみれちゃん。ハッハッハッハッ。こんな風にして心の中でしか満足できない私も評価2くらいだろうか。