森に抱かれて
「へ〜」
そうなんだ。知らなかった。藍って濃く染まるだけじゃないんだ。ふ〜ん。ってことは…。
「…染色家さんなんですか?」
「ああ、まあ一応。草木染めのね」
あ、また『フワッ』に戻ってる。
「草木染め?」
「基本、そこら辺に生えてる草木で染めてるんだけど、藍は裏庭で育ててるんだ」
「裏庭?」
「ああ。実は今も藍の種蒔きしてたとこだったんだよ」
「あ、お仕事中だったんですね。すみません、お忙しいとこにお邪魔して」
お言葉に甘えてコーヒー飲んでなんだか寛いじゃってるけど、お店やってないんだから、最早知らない人んち上がり込んでる状態だよね、これって。