森に抱かれて

「お前にも、お前の両親にも感謝してる」

「でも、それはお前を囲ってしまったに過ぎなかったのかもしれないな」

「要…」

「よしっ、わかった。お前がしんちゃんを拾ったのも何かの縁だ。しっかり、しんちゃんに鍛えて貰え」

「ああ、そうするよ」

笑い合うと、要は軽く手を挙げて帰っていく。要の後ろ姿を見送ると、佐藤は火加減を見ながら、さらに蓬を煮出していく。

< 182 / 494 >

この作品をシェア

pagetop