森に抱かれて

「あ、大丈夫だと思いますので、ちょっと待って下さいね」

このマダムを逃さない為には、ここで佐藤さんに会わせとかなきゃ。がっちり師匠の名にかけてっ。

裏口からそっとドアを開け、外の様子を伺い、ガタガタと動いている脱水機を見つめている佐藤を発見し、小声で呼ぶ。

「佐藤さん、佐藤さんっ」

「ん?」

呼ばれた事に気づき、佐藤が智子の方を見ると、高速で手招きしている。

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