森に抱かれて
「まあ、そうなの?」
中里は自分の方に向けられたファイルを覗き込む。
よし、よし。いい流れだ。頑張れっ、佐藤さん。
「何か染めたい物はありますか?」
「そうね、折角だったら、ちゃんと使えるスカーフがいいかしら」
「スカーフだったらやっぱり絹がいいと思うので、これとか、これがオススメですかね」
「あら、この柄が入ってるのなんて、いいわね」
「それは、絹をベースにポリエステルが織り込んであるんです。ポリエステルの部分はあまり染まらないので、出来上がりに柄が浮かび上がるようになってるんですよ」