森に抱かれて
「ん?」
「しんちゃんがどんな子か見てみたかったから」
「シンイチ?」
「そう。謙太郎のやる気を目覚めさせてるのは、どんな子かなって」
「なんだ、それ」
「だってそうでしょ。謙太郎が儲けようとしてるって、大河が興奮気味に話してたわよ」
「…」
「大河が謙太郎に借りがあるって思って生きてるのは、私は悪い事じゃないって思ってる」
「…」
「だけど、謙太郎には、ちゃんと、今を生きて欲しいの。趣味に生きてる老後の生活みたいじゃなくて」