森に抱かれて
智子がクマの位置を指で隠した丁度その時、
「はい、じゃ、染液をザルでこして下さ〜い」
と、佐藤の声が響く。
おっと、クマ押さえてる場合じゃなかった。ちゃんと助手やんなきゃ、後で何言われるかわかんないもんね。
智子はイソイソと中里らの方へ行き、作業を手伝う。
それから老いも若きも熱心に取り組み、作業は順調に進んで行き、媒染液に2度浸けた後、最後の工程、元の染液に付け込む。
「はい、では、10分浸けたら終了です。最後に脱水して洗ったらさっきも干した、あの物干しに干して下さいね」
「は〜いっ」