森に抱かれて
「茜かぁ。あの、夕焼け色の?」
「そうそう。ただ本当に数が採れないんだよ」
「この辺りで採れるんですか?」
「ああ。ちょっと湿地に生えてて、ここの山の向こうに沢があるんだけど、その土手の所に日本茜が生えてはいるんだ」
「取りに行きにくい所なんですか?」
「まあな。量はそんなに生えてないし、他の草に紛れてて探すのも結構大変だし、しかも、染液を取るのも結構手間なんだよな」
「って、事は、希少価値、間違いなし、ですね」