森に抱かれて

智子はじっと『さともり』の字を見つめる。

「わかった?」

「…いえ、全然」

すると、佐藤は両手でそれぞれ端の『さ』と『り』を隠す。

「わかった?」

「…とも?」

「わかった?」

え?何何?森は友達とか、そういう事?

眉間にシワを寄せるて考え込む姿を見て、佐藤の方が不安げな顔になる。

「あれ?シンイチって、『智子』じゃなかったっけ?」

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