森に抱かれて

「シンイチ?シンイチっ!」

佐藤はスコップと茜を入れた袋を放り出し、それでも自分は滑らないように気をつけながら、急いで智子に駆け寄り、水に浸かったままの智子を抱き起こす。

「大丈夫かっ?シンイチっ」

「うっ………」

「シンイ、チ?」

支える佐藤の腕に赤い液がつく。見ると智子の頭から血が流れている。

「しっかりしろっ、シンイチっ!」

「………」

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