森に抱かれて


佐藤は改めてベッドの淵に手を掛け、眠る智子の顔を見つめる。

「なあ、美咲」

「何?」

「あの時…」

「ん?」

「あの時俺は、要の代わりに怪我したのが俺で良かったって、本気で思ってたんだ」

「…」

「俺は1スタントマンだったけど、要はチャンスつかんで表舞台に立って、憧れのアクションスターの階段登り始めてたとこだったし」

「…」

「それなのに、俺に遠慮して、一緒に辞めちまって」

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