森に抱かれて
「でも、謙太郎の事も気になるしって。それで、取引先見つけてきたら、謙太郎も趣味に留まらず、ちゃんと仕事として草木染めと向き合うだろうし、自分だけスタントに戻る事、許して貰えるじゃないかって下心からよ」
「でも、俺は要がスタントに戻りたいって言ってくれた時、ホッとした」
「要から解放された?」
「そうかもな。…だけど、美咲にも言われた通り、俺は要を解放してやれてなかったんだな」
「…」
「…シンイチはさ、ロック歌手になりたかったんだってさ」
「へ〜、そうだったんだ」