森に抱かれて

「…俺も、恩着せがましい生き方辞めて、自分の為に戦わきゃいけないって、思うようになってきた」

「そう。…良かったじゃない」

「シンイチが初めて来た時は、まさかこんな気持ちになるとは思ってなかったけどな」

「しんちゃん様々ね」

「なのに、こんな目に合わせてしまって…」

「大丈夫よ。しんちゃん、出て行ったりしないわよ」

「え?」

「だって、しんちゃんは、自分が決めて自分の為に頑張ってるんだもの。ちっとも謙太郎の為だなんて恩着せがましい事、思ってないわよ」

美咲は謙太郎の顔を見て笑ってみせる。

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